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▶ ゆったりと旅する夜の銀河鉄道。VIA鉄道の夜行でアルバータ州を目指す #アルバータ秋旅 #カナダ

“Sleepers Plus Class, Hop on board!” 「スリーパーズ・ファースト・クラス、どうぞ!」の掛け声で旅人たちがいっせいに動き出します。

写真は全20両もある客車、展望車、食堂車の最後尾にある展望ラウンジで、ここから数百メートルを歩いて目的の客車へと乗り込みます。

ステンレススチール製の、レトロなボディはバッド社によって1953年に開発されたときと同じデザインです。どこか無骨で、戦時中の鋼鉄の航空機を思わせて、ここですでにもう時代がさかのぼっています。

一両の客車にはSleeper(スリーパー)という二人用の個室が4つ、一人用の個室が4つ、上下の寝台が3つついています。そこに各車両にシャワールームがついていますので、一両ずつがとても長くなっています。

しかもそれが20両続きますから、自分の客車に辿り着くまでが一苦労です。それぞれの客車には担当の係員がいて、「もうあと半分だ!」という具合に励ましてくれます。

やっとたどりついたのが私たちの客車214号車です。

あとで知ったのですが、それぞれの客車には個別番号がついていて、それぞれが 8301 Abbot Manor (アボット邸宅)、8302 Allan Manor (アラン邸宅)といった呼び名をもっているそうです。

それぞれにはSherwood(シェアウッド)、Mackenzie(マッケンジー)といったように、今もホテルチェーンの名前や川などにも名前を残している初期の探検家たちや入植者の名士の名前からきています。

今回は、コグレさん(@kogure)とも別室をいただき、個室を一人で使うことになりました。入ると椅子が2つ置いてあるばかりで「あれ? ベッドは?」と不思議な気持ちになります。

部屋には水道、飲水、トイレが完備しており、邪魔されることなくゆっくりと過ごすことができます。

数カ所の電気ランプに、真ん中のボタンを押すと通電するコンセントも2基ありますので、電子機器の充電も問題ありません。

唯一、この Canadian 線に足りないのは車内WiFiですが、TripAdviserなどのレビューを読む限り、それを苦にしている人はあまりいません。むしろ「ニュースからも、メールからも、すべてから離れて旅の空気を満喫するには最高」と前向きに評価されているほどです。

ベッドをどうしたものかと考えていると、”Welcome aboard!” と入り口から声をかけられて、ウェルカム・シャンパンをいただきました。

そして汽笛も合図もなく、ごとりと車両は夜の街を滑り始めました。

VIA鉄道の設備

ベッドの謎はすぐに解けました。出発してほどなく、客車ごとに割り当てられている係員のクリスティンさんがやってきて、設備の説明をするとともに、「もうベッドを下げておきましょう」というなり特殊な金具を取り出します。

椅子をたたみ、金具を壁だと思っていた鉄版の銀色のフックに引っ掛けると、壁全体が倒れてきてベッドに早変わりします。

おとなが楽に寝そべることができるベッドです。必要があれば天井部分からもう一段を下げて、二段ベッドにすることができます。

説明では、次の日の朝食が6時半からで、そのときに扉に札を下げておけばベッドをまた畳んでくれるとのことでしたが、あまりに快適そうでしたので、もう到着までこのままにしてもらうつもり満々です。

客車には一つずつシャワールームもあり、備え付けのシャワーセットをもって利用することができます。

少しだけわかりにくいのですが、飛び出ているボタンを押すと、しばらくお湯が出てくる、日本の温泉のシャワー方式で体を洗うことができます。

列車旅の楽しみ、展望車両へ

「眠る前に、展望車両を確認しておきましょうか」とコグレさんと車両から車両へと歩いてみると、これがけっこうな運動だということがすぐにわかりました。

展望ラウンジが存在する車両は5つ後方に、また窓ガラスに覆われた車両が2両前方にあるときいたので、そこにむかって廊下を歩いていきます。

廊下は人がすれ違うことができないほどの狭さですので、誰かが来た場合は曲がり角で互いにやり過ごします。揺れる車内を、扉や手すりにぶつからないように歩くのはなかなかに大変で、たった5両でも移動するのは面倒です。

こちらが屋根が全面ガラスになっている展望車両。このときは夜遅かったので無人でしたが、昼間になるとほとんどの人はここで景色を楽しんでいました。

こちらは階段を上がって、列車から頭ひとつ分高いところから見渡すことができるパノラマ展望車です。

夜のバンクーバーの明かりがかすかに明滅しながら通りすぎてゆくのをみていると、これは銀河鉄道だなとわけもなく思うのでした。

先ほどまで歩いていた地上から滑り出し、闇夜のなかを遠いロッキー山脈目指して車両は走っていきます。やがて携帯電話の電波も弱くなり、まったく不通になって、世界は鈍く響く鉄道の音だけです。

鉄道の音はどこか懐かしくて騒音というほどにも気になりません。私は今日一日撮影した写真をパソコンで整理すると、ここしばらく読んでいた本を取り出して読むことにしました。

ここは深く考える場所。都会から離れるほどに同時に過去へとさかのぼる場所。そして旅がようやくその姿をあらわす場所。

列車の夜は、ゆりかごのような揺れとともに深まっていくのでした。

 

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